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1935(昭和10)年刊 『住宅』20巻4号より転載
政治評論家として有名な、関口泰氏の別邸として設けられた茶室である。
場所は鎌倉五大寺の一つである浄智寺の境内にある。
鎌倉特有の丘のような山と灌木とに取巻かれた静かなーそよ風にも、木の葉のささやきがはっきりと聞こえる位な静かなところに建てられている。
記者が訪問した時は、見知らぬ小鳥がチチと啼くのさえ遠くから聞かれた。
関口氏はその専門の事以外に実に多方面にわたって、芸術的な造詣の深い方である。殊に日本の古い芸術について、その専門家以上の趣味と知識を持たれている。上図に見る手前の茶室は、廣大寺の吉野茶席を氏の希望によってうつしうえたもので、氏は、もし経済がゆるせるなら、室生寺の五重の塔のコッピーをも、つくりたい希望であった。
山口氏設計の茶室は、この吉野茶席と巧みな配列をもって、しかも南面して建てられている事、左上図に見るごとくである。
至る所に氏特有のスマートさと、古建築への新しい認識とが巧みに握手して表現されている。
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